欧州各国でのサイクリングの立ち位置


先日のパリ・ルーベの夜に、欧米各国の主要メディア(Velo NewsやPro Cycling、Cycling UKなど)のジャーナリストと一緒に食事をする機会があり、何故にベルギーではあのように自転車がこの100年間ずーっと人気であり続けるのか?という話題になった。

結局、結論は出なかったものの、特殊なコブルストーン(パヴェ)での走り方のコツもあって、ベルギーやその近郊のレースでは、昔からベルギー人が強かったからではないか。という話になった。また、オランダのジャーナリストによれば、ベルギーが世界を相手に戦える唯一のスポーツがサイクリングだからだという、流石の隣国的な爆弾発言も飛び出していましたが・・・。

で、その場で同じく話題になったのが、各国でのサイクリング(ロードレースの事をヨーロピアンはサイクリングと呼ぶ)の立ち位置と人気スポーツ。これ自体は僕自身も非常に興味があったのでちょっと取り上げてみます。

まずフランス。最も人気な観戦スポーツは、問答無用でサッカー。次にラグビー、テニス。サイクリングは4番目、ひょっとしたらF1、MOTO GPを含むモータースポーツの方が人気かな?との事。ちなみに、最近はドーピング騒動や、ツールでフランス人が勝てていない、チームも2チームしか残っていないなどで観戦型スポーツとしてのサイクリングの人気は低下していると言う。その状況は、欧州の自転車界ではちょっと問題になっているらしく、全員、何とも言い難いという表情で頷いていた。また、アマチュアレースも低迷しているというが、逆に50代以上の人にサイクリングが人気でチャレンジ系イベントや、オールインクルーシブのツアーなどは大盛況だという。
また、フランス人にとって自転車とは基本的にスポーツ。移動のための乗り物ではないので、レース人気が低迷イコール売り上げも低迷らしい。

ドイツは、問答無用でサッカー。これはまあ、聞くまでもないので言われなくても知っていますが。という感じですが、サッカーの次はと聞くと、ドイツの新聞を読むとスポーツ誌が40ページあって30ページがサッカーの話という状況なので、2番目以降はどうしようもない差が存在するとか。
で、その2番目以下のスポーツが意外に、水泳、柔道(これは日本人の私が居たのでリップサービスも含めての話と思われる)、フェンシングなど他色々。観戦型スポーツとしてのサイクリングは、一時のドイツ勢がツールで活躍していた90年代中盤はそこそこあったが、最近はイマイチとの事。
ドイツには自転車をコミューターとして使う文化がある上に、MTBが非常に盛んなので自転車の販売状況は好調。ロードバイク自体の売り上げは、ここ最近は増えて来ているものの周辺諸国に比べるとまだまだ少ないらしい。ちなみにEバイクはバカ売れ。もはや10台に1台は電動。


ちなみに、ドイツの月曜日の新聞を買ってみたら、やはり1面にサッカーで、30面に25行程写真無しでパリ〜ルーベが紹介されていた。ちなみにホッケーは大きな写真入り。

オランダのジャーナリスト曰く、サッカー。以上。2位以下のスポーツを想像出来ない程にどうしようも無い差。オランダ1部リーグやブンデスリーガの結果は30分放送するが、自転車レースの結果は30秒。ベルギーとオランダが違うのは、オランダの自転車文化は日本にも近い物があり自転車イコール街中の足なので、観戦するスポーツという認識は市民には余りないそうだ。とは言え、夏休みに自宅でツールをテレビでつけておくという人は多いらしい。
ベルギーとオランダはベネルクスと呼ばれて一緒にされがちだが、キリスト教の宗派も違うぐらいなので、自転車文化も全然違う。こちらもEバイクはバカ売れ。

イギリスもサッカーが一番。かつてはサイクリングなど見向きもされなかったが、ここ数年は急激にサイクリング人気が上昇していて、トップ5に食い込むぐらいの観戦型スポーツに伸びて来ているとの事。ウィギンスやフルーム、カベンディッシュはイギリス人なら誰でもとは言わないが大体知ってるというレベルらしい。サイクリング業界でも急激にイギリス勢が勢力を伸ばして来ているのもさもありなんという話だった。

イタリアもやはりサッカー。2番目はサイクリングとモータースポーツが同じレベルの人気。ただし、イタリアではドーピング=サイクリングになってしまっているらしく、往年の自転車ファンは皆、この現状を悲しんでいるそうだ。またイタリア母体のプロツアーチームがLampre-MERIDAだけになってしまった事も嘆いているとの事。また人々はサイクリングをする事は今も昔も楽しんでいるし、いつでも変わらず人気らしい。

一方変わって、アメリカは、野球。観戦型スポーツとしてサッカーが人気になる事は永久にないだろうとまで断言された。理由は、人気のスポーツが多すぎるため。アイスホッケー、アメフト、バスケット。。アームストロングは勿論誰でも知っているが、観戦型スポーツとしてのサイクリングはまだまだ。ただし、プレイングスポーツとしては、MTB、ロード共に確実に人気は高まっているし、最近は通勤やコミューティング、フィットネスに自転車を使う人も非常に増えて来た。

日本は?と聞かれて、30歳以下はサッカー。40歳以上は野球。70歳以上は相撲。中高年にはゴルフ観戦も人気。あとマラソン。ということでジェネレーションギャップがあり過ぎ。ここ5,6年は人気は高くなって来ているもののサイクリングが地上波や全国紙で報道される事は、ごく稀で、ヨーロッパやアメリカの状況には遠く及ばない。と答えておきました。

いずれもジャーナリストとはいえ、個人の見解なので実際とは多少は異なるかもしれませんが、個人的にはなかなか興味深い話が聞けました。
サイクリングの立ち位置がサッカーに大幅に負けていると皆、頭を抱えながら口を揃えて言っていましたが、そもそも頭の中に基本的にある観戦型orプレイングスポーツとしてのサイクリングの立ち位置の基準レベルが全然日本とは違って、どの国もテレビでロードレースは中継しているし、夏の水曜日の夕方には街中でアマチュアクリテリウムやってるレベル故に日本で言う所のマラソンぐらいの位置がベースにあった上での話だと思って考えてください。

ちなみに昨日(月曜日)のベルギーの全国紙。カンチェラーラがドカーンと1面に載っていて、スポーツ欄もパリ〜ルーベの話で一杯。何故にベルギーでは自転車がここまで人気なのだろうか。いつかベルギー人のジャーナリストと食事する事があれば聞いてみたいですね。