YAMAHAの電動アシストロードバイクYPJ-01の続き


東京モーターショーでYAMAHAが発表したYPJ-01の記事が、書いた自分でも驚く程の反響になっている。そんなの読んでないよって人は、まずは本サイトの記事をお読み頂くとして、ちょっとYPJ-01本体からは脱線する話なので、自分のブログで追加で補足してみたい。

これだけ話題になっているので、皆さんどんな会話をしているんだろうか?とエゴサーチ(要するにtwitterとかfacebookの大海原を検索してみたという事)をしてみると、軽い!凄い!YAMAHAスゲー!こんなの普通のロードで良くね?イラネ!と色んな方が居られるが、GIANTとYAMAHAが電動アシスト車の開発で提携というか、YAMAHAが20年間のノウハウを蓄積して来たアシストドライブユニットをGIANTに供給する提携をしたという話を話している人が意外な程に誰も居ない。

今回のコンセプトバイクは、フレームは国内ビルダーが作ったというし、アッセンブルを見ても相当に通好みな仕立てになっているけれど、YAMAHAが本当に伝えたいのはバイク自体じゃなくて、次世代スポーツアシストユニットの量産試作型を展示しましたよという事だ。モーターショーの会場に「アシストユニット」単体で展示しても誰も見てくれないというか意味不明過ぎるので、自転車フリークに対して話題性のあるコンセプトバイクに仕立てたという話。

このユニットをもちろんYAMAHAは自社のPASのスポーツバイクにも搭載するだろうし、同時に「おそらく」だが、GIANTにも供給する。電動アシストのスポーツバイクは、TBJでも散々紹介して来たが主戦場はヨーロッパ。ドイツ、ベネルクス3国では非常に受け入れられていて、電動アシスト車が増えているので、自転車産業全体では昨今の欧州不況で出荷台数は落ちているのに、平均単価を押し上げて売り上げ高は逆に増えた。(=利益も増えた。)という状態が起きている。オランダで輸入商社をやっている友人は、電動アシスト車は今は港に入ったらそのままバックオーダー分の出荷に消えて行くので幾らでもタマが欲しいと言っている程だ。

で、ユニット単体で3kgちょっとのこの新システムを搭載してGIANTが本気で電動アシスト車を作ったらどうなるか?構造的にどう考えても優れているセンターユニット式なら、恐らくSPECIALIZED TURBOを軽く超えるものが出て来るだろう。

250Wの最高出力は、電動アシストユニットとしては普通の出力。TURBOも確か250Wだったと思う。350Wや500Wのユニットにフルパワーで乗ると電動カンチェラーラと言える暴力的な加速が味わえるが、普通に考えると250Wあれば、笑顔で心拍数100で回して45km/hで巡行出来るので普通に必要十分過ぎ。それより先の暴力的な加速はエンジン付きのモーターサイクルに行けば良いでしょう。

忘れては行けないのがガラパゴスジャパンの法規制。先進国で一番厳しい電動アシスト車の法規制があるので、折角YAMAHAが作った超軽量ユニットの恩恵も殆ど受けられない。なので、今回のコンセプトバイクは、普通にロードバイクとして走れながら、発進の瞬間と時速10km/hぐらいまでで楽々にヒルクライムを登れる。という仕立てになっているのだ。

こんなのイラネ。という人の気持ちも解らんでもないが、ガラパゴスジャパンの法律が折角作ったユニットの凄さを完全にスポイルしてしまっている。とは言え、欧米、特にヨーロッパのハイパワーの電動アシスト車に色々乗ってみた経験から言わせて貰うと、日本で45km/hまでアシスト出来る自転車を誰でも買える・乗れる状態で売ったら道路事情を考えると大変な事になってしまうのは想像するまでもない。前カゴにネギを入れたオバちゃんが時速45km/hで片手に傘持って逆走してくるなんて、想像しただけでも悪夢である。

現実的な落としどころとしては、一部の国が取り入れているような自転車と小型バイクの間の乗り物カテゴリーの創出。もしくは原付扱いでナンバープレートと税金・自賠責保険は必要なんだけど、ウィンカーは手信号で勘弁してもらえるような法律改正が、近い将来求められるのかな?とも思います。

20km/h以下でしか走りませんよ。という人には今の法律でも十分なアシスト量が得られるかもしれませんが、ココまで本気のユニットを見せられて、10km/h以下でもペダリングパワーの200%以下、10km/hから段階的に減って行って24km/hでアシスト打ち止めというのは今既にロードバイク乗っている人には、ちょっと弱すぎる。

都市型モビリティとしては、電動アシストスポーツ車というのは環境負荷とか健康志向とかを総合判断すると理想的な解決策なのかなと思うので、YAMAHA含むアシスト車を開発している日本のブランドには是非ともロビー活動を頑張って頂きたいと思います。せめてアメリカの20マイル(32km/h)規制まで頑張って持って行って欲しい。(ちなみに、アメリカでは20マイル規制が遅すぎるとして、州や市で独自の法律を作って上限スピードを上げる動きがある。)

最初のGIANTの話に戻りますが、で、どうなの?と台湾の電動アシスト開発担当者に先程直接電話して聞いてみたら、「何もまだ言える段階にはありませーん。」と、ごもっともな話。勝手に期待だけして待っていたい。

続く

photo:Hideyuki Suzuki